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野ブタをプロデュース。

 5月27日

去年の冬頃かな
結構流行ったドラマ「野ブタをプロデュース。」
修二と彰の「青春アミーゴ」が猛烈に売れて話題になって名前くらいは知ってる人も多いはず。

同じクラスの信子(野ブタ)は暗い性格が災いしていじめに合う。
そんな信子を人気者にプロデュースしていくというストーリー。

俺の周りでもそこそこ見てる人はいた。
よくつるんでる後輩もその一人で、毎週欠かさず見ていた。
そんなある日、職場で雑談していたときそいつが言い出した。

「そらさんはもっとお洒落に関心持ったほうがいいですよ。マジで!」
「はぁ、でもお洒落とかあんまわからんし。金かかるやん。」
「そんなこと言ってるからダメなんですって。よし、じゃあ俺らがそらさんをプロデュースしますよ!」
「わしゃ野ブタかい!」
「そうっす!野ブタっす!」
「・・・・・。」

こいつにはお洒落についていつも怒られていた。
ジャージでスーパーに買い物行った時や、服屋に入っても興味をしめさない俺に。
こういうお節介を焼いてくれる後輩を俺はかけがえなく思っていた。

そして次の休日、二人の後輩に連れられて服屋めぐりが始まった。

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「東京タワー」

 5月25日

数日間出張に行ってた。
忙しいなりに空いた時間を有意義に使おうと本を読んだ。

どこの本屋に行っても売っている
リリー・フランキーさんの 「東京タワー」

読み出して、面白いけどそんなに入り込むことは無かった。
僕は以前に「美女と野球」という本を読んでからリリーさんのことを好きになった。
でも、ココリコのお笑い番組に出てるのが彼だと知ったのは結構最近だったけど。

それなりに彼を知ってるからきっと面白いんだと。
彼を知らない人は途中で挫折しないんだろうか、余計な心配までした。

けど、気付かないうちに僕はリリーワールドにはまってた。


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『恋愛寫眞』

 5月13日

仕事も終わって帰ろうかというときに同僚に呼び止められた。

「そらさんに絶対おすすめなんです。」

手には一冊の小説があって、題名を読む

    『恋愛寫眞〜もうひとつの物語〜』

なんとなく名前は聞いたことがあった。映画化するとかなんとか。
作者は市川拓司。あまり本を読まない俺の数少ない好きな作者だった。
(これ、市川拓司のだったんだ。)

「ありがとう。読んでみるよ。」

家に帰ると疲れがどっと出て、何もやる気がおきなかった。
一週間がもう一ヶ月以上に感じられた。
それはきっと、まだ始まったばっかりで
この忙しさの終わりが見えないのも原因の一つかもしれない。

テレビをつけて、初めて今日が平日じゃないことを思い出した。
体の重さが増した気がする。

(このまま寝ようかな。明日も早いし。)

けど、まだ6時にもなってないのに寝るのもしゃくだった。
いい歳した成人男性が・・・。

ふと、バックの中の小説を思い出し、眠くなったらそのまま寝るつもりで読み出した。
ピアノ練習中の「悲愴」を流しながら、ベットに横になる。
氷が無かったからストレートでウィスキーを少しづつ飲みながら読んだ。

読み出すとすぐに入り込んでいた。
話は人と距離を置いて生活してきた男と、とても個性的で謎めいた背の小さな女の話。
女は男の影響で写真に興味を持ち、二人は微妙な関係を保ちながら距離を縮めていく。
男は片思いの女性がいて、女はそんな男に恋に落ちる。

登場する大学で知り合う友人達も好きだった。
大学生活に必要以上の憧れがあるのも、入り込む原因の一つだったかもしれない。

なにか負い目を感じて人と接する男と、自分を重ねてもいた。
ただ単純に幸になってほしい。
ハッピーエンドになってほしい。そう願いながら読み続けた。

途中で今日が日本代表のサッカーの試合の日だということを思い出してテレビをつける。
でも、つづきが気になって、テレビを消音にして続きを読んだ。
試合経過だけ見るつもりだった。
けど、一度も見なかったから結局テレビを消す。

 ラストでは涙が溢れてきた。

二人の気持ちが、とても純粋で真っ直ぐで、眩しかった。
読み終わったあとはなんとも言えない気持ちだった。

これは借り物だったから、今度ちゃんと自分の分を買いに行こう。
きっと何度も読むに違いない。
たぶん映画は見ないだろう。
少なくとも数年は。
興味はあるけど、この気持ちを壊したくはなかった。

こう思える時間がとても贅沢に感じた。
寝て終わるはずだった時間がとても大事な時間になった。

 この本と出会えてよかった。



雨上がりの帰り道。

 5月10日

朝から降ってた雨も、帰る頃になったら待ってたかのようにあがってた。
つかの間の休暇も終わり、今日から多忙の日々が始まる。
休み明けしょっぱなから激務だった。トラブル続出で昼も休めない。

そこにきて、うちの部署の最下っぱことツネキチ君は痛烈な失恋をしたらしく
全く使いものにならなかったし・・・。
泣きながら連休を明かしたらしい。予約してたニャン×2旅行もキャンセルに。
まさに抜け殻状態。
・・・ううむ、今日は休んでなさい。^^;
うちのパートは基本的に身内に甘く、よそに厳しくをモットーにしているのだ。
まぁ彼の場合、そんなに影響ないってのもあるかもしれない。

激務を馬車馬のごとく切り抜けて、やっと仕事がおわった頃にはもうヘトヘトになっていた。

「終わったぁ〜。」

変身ばりに着替えると愛車のチャリンコにまたがり職場から逃げるように走り去った。
長居はむよーです。はい。
いるだけ仕事が舞い込んでくる。

雨上がりの道をのろのろと愛車をコギコギして帰る。
ランドセルを背負った子供たちが何人かのグループになって走り回ってた。

 下校時間か。

なーんとなく昔を思い出してほほえましく眺めてしまう。
そういや昔、教師になりたかった時期があったなぁ なんて思い出したりした。
こう見えても子供受けはいい!
頭脳が足りなかっただけで
子供と、老人と、酔っ払いの相手は得意なんです。ぶれんでぃ。

やばい。俺ちょっとニヤついてるかも。
表情を引き締めなおして子供をしかないようにハンドルを切る。
そしたら、ふと女の子と目が合う。


 「ベェーーーーーーー!」


ときおり子供が見せるまさに全身全霊のあっかんべぇ!

 っっな!
   なに?俺何かした?
      ええ?なななに?

混乱しつつも自転車は止まることなく、のろのろと過ぎてゆく。

通りすがりの俺へ
         心からの「あっかんべぇ」

俺が何したってんだちくしょーー!


  僕の心はいたく傷ついた。




そして誰もいなくなった

 5月7日

この黄金週間中に休みらしい予定はほとんど無かった。
ただ、ひとつだけあったのは海に素潜りに行く事だった。

職場の先輩に今度潜りに行こうと誘われていた。
べつに常夏の島でもなく近所のおすすめスポットでだ。
それでも、潜ってみたかった。
そこに来て「海猿」効果でやる気は倍増だった。

職場のウエットスーツや潜水機材を準備しながらワクワクしていた。
職場の機材で補えるのはこういう時助かります。
もちろんいけない事ですよ。プライベートに持ち出しなんて。
管理してる人に怒られちゃいます。
でもそれが俺なわけで、職権乱用です。
よい子のみなさんはマネしちゃだめだよ!

待ってな!青い海!お魚さんたち。
めくるめく感動の海よ。もうすぐそこに行くよ。

水中カメラなんかまで用意して完全にウキウキ気分な俺。
ちょっと遅れて先輩が来る。

「遅いじゃないですか、準備はかんぺっきっす!」
「それがさぁ・・・。」

えーなんでも今日の朝刊で密漁で誰か捕まったらしいです。

「だから、やめとこうか。捕まるとヤバイもんね。」
「・・・・・。」

なにしに行く気だったんすか?
密漁?
お魚とかあわびとか獲るやつ?
おすすめスポットってそっちかぁぁ!

 もしかして俺、戦力として誘われたの?

ってか犯罪の片棒じゃん!
 
そして、先輩は去り、

 後にはアホみたいにウェットを着込んだ男が一人、立ちすくむのだった。

Appendix

プロフィール

そら(22)

Author:そら(22)
趣味 サッカー・最近読書
好きなこと 珈琲やお酒を飲みなが
      ら何かをすること
好きな音楽 ブラジリアン・ジャズ
      を中心にジャズが最近
      マイブーム!

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