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軽いキッスと赤い顔

9月27日

ここ最近は多忙を極めている。
今月家に帰れたのは今日を含めてわずか4日。
そのうち休みなんてのはほんのわずかだけ。
しかも出張中のほとんどの日は携帯の電波も入らないという環境
そして仕事はこれからさらに忙しくなる。

恋愛なんて面倒なことはもう諦めた。
まず、周りに出会いすらない。
ましてや遠距離恋愛なんて余計無理。
とてもじゃないけど考えられない。

周りにそんなヤツもいなくはないけど、ことごとく失敗している。
離婚すら珍しくなく、40・50代の独身者も少なくない。
自分もそうなるんじゃないだろうか、あせりもした。
でも、その結末がこの前の結果だった。

 だからもう、特別な存在は作らない方がいい。

そんな諦めと、友人たちが心の秩序を回復してくれた。
地元の友達や職場の同僚、行きつけの喫茶店のお姉さんまで
本当にいろんな人が、心の支えだった。
そして、これから話す女の子もその時はその中の一人だった。

結果から先に言うと、僕と彼女は 彼氏と彼女の関係 になった。

彼女との出会いは7月の初め頃だった。
その時はこんなに親しくなるなんて夢にも思っていなかった。

歳は僕の一つ年上で第一印象は性格のきつそうな苦手なタイプだと思った。
ショートカットに銀縁の眼鏡は、人を寄せ付けない何かを放っていた。
本人曰くそんなことはないらしいが、傍目にはいつも不機嫌そうに見えた。

彼女はうちの企業のキャリア組で僕の職場に研修に来ていた。
相手は将来上司になる存在、向こうからしてもこっちは現場の人間。
分かりやすく言うと映画版「踊る大捜査線」の青島と女管理官みたいな関係だ。
研修に来ている以上、教え教わる関係だがそれ以上でも以下でもない。

以前にも述べたがうちの職場は特殊で、かつ女性は全くいない。
今回の研修生の中に女性は6人いた。男はその3倍。
そして男ってヤツは単純で、どの子がいいとか、あのこはダメだとか勝手に騒ぎだす。
僕も例外ではなく、6人すべての女性をチェックした。(ちなみに俺の一番は彼女だった)
けどそれは暇つぶしの類で、実際に惚れる奴も出てはきたが実行に移そうって奴はいなかった。
ほとんどの人が距離を置き、仕事も義務的に教えていた。
研修生達は、まるで6年の時に転校して来た転校生みたいだった。

俺自身、彼女たちと特別親しくなろうとは考えもしなかった。
たとえ仲良くなっても研修生は研修期間が終われば神奈川に帰ってしまう。
だから単純に、彼らと仲良くなろうと思った。
上に立つ人間ってのがどんなか、いささかの興味もあった
いろんな人に接するのは好きだし、それは無駄ではないと思っていた。

そして同い歳の男と親しくなり、そのパートナーが彼女だった。
研修生は2人1組で、自然とその二人が研修に来ると話すようになった。
同じ部署で働いてるおっちゃんもその二人が気に入ってて二人もよく顔を出しにきた。

最初はとっつき難いかと思ってた彼女は、すごく話しやすくて
なにかあるとすぐに「えへへ」とごまかすおっちょこちょいだった。

そんな彼女に好感を抱きつつも頭の隅にはいずれ居なくなる存在としか考えていなかった。

10月に神奈川に出張に行くことが決まっていた俺とおっちゃんは
再会を約束して彼女とパートナーの男とアドレスを交換した。
アドレスの交換にはおっちゃんが積極的で、俺はそのついでのような形で交換した。
それが無ければ彼女どころか親しくなった彼ともアドレスの交換に至れなかっただろう。
それがいつものパターンだったが、おっちゃんがキューピット役になってくれた。

そんなおっちゃんは妻子持ちながら本気で彼女に惚れてしまい
その後若干の争奪戦があったんだけど・・・それはまた今度機会があれば。

そして、2週間の研修を経て二人は神奈川に帰っていった。

それから、彼女は結構頻繁にメールをくれた。
孤独に打ちひしがれてたその頃の僕にメル友としての彼女は
一時的ながらも寂しさを埋めてくれる存在だった。
けど、遠く離れた彼女にそれ以上の期待はしていなかった。

遠距離恋愛なんて、俺には無理だから・・・。
近くに居ない。それだけで恋愛対象として見る事もしなかった。

そして休暇がとれ、地元に帰り、友人たちに会って馬鹿騒ぎして
気持ちは落ち着き
ほとんど毎日交わす彼女とのメールにも慣れていった。
彼女は実家に帰っていて、僕は京都に戻り
少ない休暇が終わろうとしていた。

明日で休暇も終わりという日にそのメールは来た。
その日のメールはいつに無くお互いの好みや恋愛の価値観なんかで盛り上がった。
深夜2時を回り「おやすみ」のメールを送り、布団にもぐりこむ。
少し間を空けて帰ってきた返事は「おやすみ」ではなかった。


  「まだ起きてますか?」


それまでのメールの内容もあり、ただならぬ予感がしていた。


  「起きてるよ。どうかしたの?」
  「今日、遊びに行ってもいいですか?」


今日といってもすでに2時を過ぎている。
彼女の実家からここまで片道で4時間はかかるだろう。
休む時間はあるの?
僕の休みがあと一日でもあれば中間の街であえるだろうけど。
必然的にこの街に彼女が来るしかなく

それはつまり、彼女の意思表示だった。

改札を出てきた彼女はTシャツにパンツ姿のすごくラフな格好だった。
職場以外で会うのはそれが初めてで
全く化粧もお洒落もしない彼女のそんなところが僕には嬉しかった。

よく考えると実際に二人で会うのも初めてで、最初は少しぎこちなかった。
彼女が好意を抱いてくれてるのは分かってた。
けど、それは俺の勘違いだったら?

相変わらずの臆病風で、微妙な距離を埋める事ができなかった。

食事をしてカラオケを出ると、とっくに終電もない時間だった。

「今日泊まるとこどうするの?」
「あ、その辺のビジネスホテルでも探します。」

ああ、俺ってなんて卑怯なんだろう。
けど、俺だってわかってる。
ここで言わなければ最低だって。
こんな田舎まで来てくれてる彼女に失礼だって。

「汚いけど、うちで良かったら泊まってく?」
「いいんですか?」
「そのかわり、明日仕事だから朝起こしちゃうかもしれないけどね。」

狭い部屋も、距離を埋めるのにはむしろ好都合だった。
もう、遠回りはしない。
これ以上彼女に言わせるわけにはいかない。

テレビを見ながら話しつつ、タイミングを見計らっていった。
ふと体がふれあい彼女の顔が近くに来た時、一瞬時間がとまった。
僕はしっかりと瞳をみつめて、真剣な顔で言った。


「遠距離になるけど、俺と付き合ってくれない?」


彼女の返事は言葉じゃなく、軽いキスとうつむいて赤くなった顔だった。


彼女はキャリア組で来月から1年間転勤になり、そのあとは半年ほど海外に出張してしまう。
俺自身今年の12月から長崎に3ヶ月ほど出張になり距離はひらいてしまう。
その後に転勤の可能性も出てきた。


   (ましてや遠距離恋愛なんて余計無理)


障害はまだまだいっぱいある。
けど、それでもいい。

 今では、そう思っている。 
    
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5件のコメント

[C136] こんばんは

お久しぶりです。素敵な出会いに巡りあえて良かったですね^^
ひとつ前の、あの恋の体験で、そらさんの心に余裕が生まれて・・
彼女さんを引き寄せる力にもなったのかなって思いました。
また読みにきます、楽しみにしてますね。

[C137] コメント返事

>>Reina
ありがとうございます。
なかなか更新できないかも知れませんが
できる限りこうしんしますね。

Reinaさんのとこにもまたおじゃまします。

[C138]

遅くなったけどおめでとう。
まぁ色々あって今までコメントできなかったけど
友人として心から喜んでる。
  • 2006-10-21
  • 黄色い猿
  • URL
  • 編集

[C139] コメント返事

ありがとうね。
そっちも頑張るんだよ!
俺に出来たんだからね。出来ない事は無いよ
  • 2006-11-19
  • そら
  • URL
  • 編集

[C141] 今月やべぇわ俺。。

今月の副収入4 8 万・・・ヽ(`Д´)ノスクネェ!!
うわぁ・・こ りゃ頻繁に会 わないと今月の生活マジ危うい(´・ω:;.:…
http://dvxvb.net/op_h/

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そら(22)

Author:そら(22)
趣味 サッカー・最近読書
好きなこと 珈琲やお酒を飲みなが
      ら何かをすること
好きな音楽 ブラジリアン・ジャズ
      を中心にジャズが最近
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